ブラックコーヒー
そう笑う私に斗真さんが差し出したのは、1万円札。

私はそれを受け取ると鞄の中に入れた。



「5千円で十分なのに。」



私の月々のお小遣いが5千円。
そう考えると5千円で十分なんだ。



「自分を安売りするもんじゃないよ。…まぁ、俺が言えることじゃないけど。」

「安売りなんてしてないつもりです。会う頻度上げれば貯まる金額は変わらないから問題はないし。」

「欲がないなぁ…。美由里ちゃんにとって不利な条件でしょ、それじゃあ。」

「そんなにあっても使い道に困るだけだもん。」
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