やわらかな夜
プロローグ
いつもの気まぐれだって思いたかった。

失恋で狂っていたからなんだって、そう信じたかった。

彼女が美少女だったから。

美少女過ぎるたから、俺はそんなことをしたんだって。

そう、思いたかった。

思いたかったから、自分に何度も言い聞かせていた。

彼女に対する本当の気持ちを隠しながら、ただひたすらに何度も何度も。

でもそんなことをしても、無理だった。

俺にそんなことはできなかった。

いや、彼女を拾った時点でもうすでに手遅れだった――。
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