やわらかな夜
車内で男2人が無言でハンバーガーを食っている画は、シュールなのもいいところだと思う。

「シュージくんはさ」

理人さんが俺に話しかけてきた。

「あかりのどこを好きになったの?」

俺はハンバーガーを食べる口を止めると、
「えっ?」

理人さんに視線を向けた。

「あかり、シュージくんのことを“優しくて一途”だって言ってたんだ。

お節介なくらいに優しくて、お節介なくらいに一途だって」

「そうですか」

「シュージくんならあかり以外にももっといたはずなのに、どうしてあかりを好きになったの?」

突然の理人さんの質問に、俺は返す言葉が見当たらなかった。
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