やわらかな夜
しばらくするとパトカーも救急車もいなくなり、あかりが走ってホテルから出てきた。

ドンドンドンドン!

窓ガラスを破壊しそうな勢いであかりが強くたたいてきた。

後部座席のドアを開けてやると、あかりが乗り込んできた。

「うわっ、マック買って食べたの?」

しかめた顔で言われた第一声。

「しょーがねーじゃん、お昼だったんだし」

「今すぐ『片桐総合病院』へ向かって!」

理人さんに答えてるヒマがないと言うように、あかりが俺に言った。

「か、『片桐総合病院』?」

とりあえずカーナビに、あかりが言った病院の名前を打った。
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