やわらかな夜
答えるように舌を絡めると、あかりもそれに返してきた。

お互いの唇が離れる。

あかりは優しく俺に微笑みかけた後、そっと目を閉じた。

「――おやすみ…」

その声につられるように、俺も目を閉じた。


みそ汁の匂いが、遠くなっていた意識を覚まさせた。

――ああ、もう朝か…。

躰を起こすと、俺はリビングに出た。

「おはよう」

キッチンにいたのは、あかりだった。

テーブルに視線を向けると、朝食が用意されていた。

ご飯にみそ汁、たまご焼きにたくあん――ちゃんとした朝食だった。

その朝食を眺めていた俺に、
「冷めちゃうよ?」

あかりに言われて、椅子に腰を下ろした。
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