やわらかな夜
2―“それ”を知った日
それから1ヶ月後のこと。
会社にきた俺を迎えた光景は、
「元気な赤ちゃん産んでくださいね!」
後輩の女の子が有村――先月俺に妊娠を告げた女上司――に花束を贈る光景だった。
「ありがとう」
有村は笑いながら、後輩から花束を受け取った。
明日から、彼女は産休に入る。
少し大きくなったお腹が、その証拠だ。
俺は、有村におめでとうございますと言えなかった。
未練がましいのもいいところだ。
けど素直に言えたとしても、俺は何になったのだろうか?
いっそのこと、彼女の妊娠がジョーダンだったらよかったのに。
いや、彼女のお腹の中にいる子が俺の子だったらよかったのに。
その光景から目をそらすように、俺は自分のデスクへと足を向かわせた。
会社にきた俺を迎えた光景は、
「元気な赤ちゃん産んでくださいね!」
後輩の女の子が有村――先月俺に妊娠を告げた女上司――に花束を贈る光景だった。
「ありがとう」
有村は笑いながら、後輩から花束を受け取った。
明日から、彼女は産休に入る。
少し大きくなったお腹が、その証拠だ。
俺は、有村におめでとうございますと言えなかった。
未練がましいのもいいところだ。
けど素直に言えたとしても、俺は何になったのだろうか?
いっそのこと、彼女の妊娠がジョーダンだったらよかったのに。
いや、彼女のお腹の中にいる子が俺の子だったらよかったのに。
その光景から目をそらすように、俺は自分のデスクへと足を向かわせた。