やわらかな夜
俺は有村に声をかけた。

「よろしかったらですけど、俺祝います」

そう言った俺に、有村が心の底から喜んでいると言う笑顔になった。

「ありがとう、滝本くん」

有村が俺にお礼を言った。


会社近くの小さな居酒屋で、俺は有村の誕生日を祝った。

「すみません、こんなところで」

周りの喧騒に、俺は有村に謝った。

「いいのいいの」

有村が顔の前で手を横に振った。

「あんまり気取ったところへ連れて行かれても困るだけだから」

有村はフフッと笑った後、梅酒を飲んだ。
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