やわらかな夜
気がついたら朝で、俺と有村はベッドのうえにいた。

「――まさか…」

この状況に、俺はどうすればいいいのかわからなかった。

場所も場所。

しかも、服は着ていない。

下着すらも身につけていなかった。

「――滝本くん…」

彼女も、俺と同じ生まれたばかりの姿だった。

酔っ払った末の出来事で、相手は女上司。

俺は何度も有村に謝罪をした。

「いいのよ、私も酔っ払ってたから。

仕方ないわ」

何度も謝罪する俺を彼女はなだめた。

一夜の過ち――俺と有村の関係は、本当ならそこで終わるはずだった。
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