やわらかな夜
もし俺がマジメに、そのうえご丁寧に避妊なんかしなかったら…彼女は俺の子供を妊娠して、迷わず俺のところにきただろう。

そんな後悔が俺の心を支配した時、
「おにーさん、ずいぶんと荒れてるね」

その声に、俺は視線を向ける。

「こんばんは」

そう言って俺の隣に座った声の主は、黒髪のショートカットがよく似合う女の子だった。

新雪のような白い肌。

猫を連想させるような切れ長の大きな瞳。

小さな鼻。

完熟トマトみたいな紅い唇。

端正な顔立ち。

彼女を一言で言い表すとするなら、“美少女”だった。
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