やわらかな夜
俺は、意外にも独占欲が強いのかも知れない。

「――シュージ…ああっ!」

あかりの乱れたその姿を、誰にも見せたくない。

それだけなら、まだいい。

さっきのあかりのドレス姿も。

普段の献身的なあかりの姿も。

みんな誰にも見せたくないと、思っている。

あかりが全部、俺のものになってしまえばいいのに。

躰も心も全部、俺の中に収まってしまえばいいのに。

俺はそんなことを思った。

「――ひあっ…!」

溶けそうなくらいに熱いあかりの中に、俺はめまいを感じた。
< 30 / 111 >

この作品をシェア

pagetop