やわらかな夜
俺は、何杯飲んだのだろうか?

いつの間にか、店内にジャズが流れていた。

それにあわせるように、歌声が聞こえる。

――歌声…?

その歌声に視線を向けると、ステージのうえにあかりがいた。

いつか見た黒のドレス姿で、あかりは歌を歌っていた。

キレイな歌声が、店内を包み込む。

酔いがようやく回ったのだろう。

俺は夢うつつな気分で、あかりの歌声を聞いていた。

歌詞は英語だった。

でもどこかで聞いたことがあるメロディーに、俺はそっと身を任せるように目を閉じた。
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