やわらかな夜
へえ、珍しいな、あかりの瞳は濃い茶色なんだ。

彼女に見つめられながら、俺はそんなバカなことを思った。

「何杯も眠るくらいに強いお酒飲んで、本当は何かあったんでしょ?」

コーヒー色の瞳が俺を見透かすように見つめてきた。

「シュージ」

その瞳にウソをつくことはできない。

わかっているけど黙っているのは俺のわがままだ。

彼女に見透かされることが悔しいと言う、俺の男としてのプライドからだった。

沈黙が長い。

先に破ったのは、
「お金?」

あかりの方からだった。
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