やわらかな夜
「わかった、用意するわ。

今すぐ必要なの?」

そう言ったあかりに、
「――いや、今すぐって程でもないけど…」

俺は戸惑った。

「そう、でも必要みたいだから明日おろしてくるわ」

何でもないと言うように言ったあかりに、俺は呆然とするしかなかった。

――あかり…お前は一体、何者なんだ?

ある日突然のように俺の前に現れて、ずっと前からそこにいたと言うように俺の世話を焼く。

極めつけは、100万円の用意である。

まるで何でもないように、俺の世話を焼く。

まるで当たり前と言うように、俺のために用意をする。
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