やわらかな夜
初めて、俺はあかりのことを知りたいと思った。

ある日突然のように俺の前に現れたお前のことを、俺は知りたいと思った。

今さら過ぎるかだろうか?

彼女に出会って何日目かで、知りたいなんて思うのは出遅れているだろうか?

でも、思った。

あかりを知りたいって思った。

「――シュージ?」

俺の名前を呼んだあかりに、
「――あ、ああ…もう帰るよ…」

俺は椅子から腰をあげた。

閉店間際まで眠っていたおかげだろうか?

それとも、あかりに驚いたからなのだろうか?

俺の足は飲み過ぎていたわりにはしっかりとしていた。
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