やわらかな夜
4―“それ”を願った日
翌日の夜のことだった。

「はい」

そう言ってあかりは、俺の前に分厚い茶封筒を差し出した。

「100万円」

その茶封筒の中には、その通りの金額が入っていることだろう。

昨日の言葉通り、あかりは本当に100万をおろしてきたらしい。

俺はすぐにあかりの手から受け取ることができなかった。

なかなか受け取らない俺に、あかりがテーブルのうえに茶封筒を置いた。

「あかり」

俺はあかりの名前を呼んだ。

「――お前は、一体何者なんだ?」

昨日思ったことを、俺はあかりにぶつけた。

あかりは一瞬首を傾げたけど、すぐに笑った。

「知りたい?」

紅い唇が動いて音を発した瞬間、俺は首を縦に振ってうなずいた。
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