やわらかな夜
「――なっ…!」

俺は驚いた。

あかりが飴をなめるように、俺の指先を口に含んでいたからだ。

クチュリと、あかりがやらしい水音を1つ立てた。

慌てて手を引っ込めようとする俺をおもしろがるように、あかりはクスリと笑った。

こいつ、何かを企んでいるな?。

その企みがいいものではないことがわかった。

それよりも俺が知りたいのは、あかりが何者かと言うこと。

何でそれがこんなことになってるのか、よくわからない。

そう思っていたら、俺がそれまで見ていた景色が反転した。

背中には床の固い感触を感じた瞬間、天井とあかりの顔が視界に入った。
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