やわらかな夜
「――うくっ…んっ…」

わざとらしく立てられる水音が、俺の耳を犯した。

視界も視界で、見ることが耐えられない。

「――あっ、あかり…」

あかりの名前を呼んだら、
「――ガチガチね」

あかりに舌でなめられた。

「――ふっ…!」

それだけで、意識が全部持って行かれそうになった。

このままあかりを押し倒してしまえば何のそのだ。

しかし今の俺は、完全に彼女の捕食者にしか過ぎなかった。

あかりが俺の頬にキスをする。

何回も与えられるキスに対し、手は高められたままだった。
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