やわらかな夜
お前は何者かと言う俺の質問に、あかりはまだ答えていない。

「コンビニ」

あかりは一言そう告げると、玄関へ向かった。

バタンと、ドアの閉まる音が聞こえた。

俺は追いかけることができなかった。

余韻がどうこうの話じゃないけど、俺は彼女を追いかけることができなかった。


コンビニに行くと言ったのに、あかりは帰ってこなかった。

そのうち帰ってくるだろうと思ったけど、あかりは帰ってこなかった。

そして、俺は有村と会う日を迎えた。
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