やわらかな夜
「――修司?」

名前を呼ばれて視線を向けると、目の前にいたのは有村だった。

当たり前だけど、あかりじゃない。

…俺は、何をやっているんだろうか?

ここにいるのはあかりじゃなくて有村なのに、何で俺はあかりのことを考えていたのだろうか?

「好きな子がいるの?」

有村が言った。

「――えっ…?」

言われた俺は訳がわからなかった。

有村はやっぱりと言うような顔をした後、
「いずれになることだったから、わかってたわ」

呟くように言った。
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