やわらかな夜
あかりは俺に微笑みかけると、
「えらいね」
と、小さな子供に向かって言うように俺に言った。

「100万円はまだ持ってる?」

あかりに言われてカバンからそれを出そうとした俺に、
「使ってないならいいわ」

あかりが言った。

「せっかくなんだし、今から夕飯を食べに行かない?

すっごくいいところでさ、一緒に食べようよ」

あかりが楽しそうに言ったので、
「行こうか」

俺は首を縦に振ってうなずくと、ようやく椅子から腰をあげた。
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