やわらかな夜
あかりの手が俺から離れようとする。

離れようとするその手を、俺は重ねた。

「俺は、お前を知りたい。

躰とコーヒー色の瞳以外、何もかも全て知りたい」

そう言った俺に、
「――知らない方がいいことだってあるに決まってるわ」

「違う!」

俺は首を横に振った。

「わがままなのはわかってる…。

俺のエゴだってことも、もちろん理解してる…。

だけど…」

俺はあかりと重ねた手を強く繋いだ。

「俺は、あかりが好きだ。

好きだから、お前に関することを全部知りたいって思ってる」
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