やわらかな夜
「――ごめん…」

呟いているような小さなその声に、俺はあかりに視線を向けた。

「――あかり…?」

俺の口から、かすれた声が出てきた。

何故なら、あかりが泣いていたからだ。

「――シュージに、あたしは似合わない…」

あかりの言っている意味がよくわからなかった。

俺に似合わないって、一体どう言う意味だよ。

「シュージは優しくて一途だから、あたしみたいな女は向かないよ…」

そう言ったあかりの声は、震えていた。

「――何で…」

何でそんなことを言うのだろうか?
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