やわらかな夜
「待ってくれ!」

俺はあかりを追いかけた。

「追いかけてこないで!」

あかりに叫ぶように怒鳴られた。

「あたしのこと忘れたいんだったら、こないで…!」

あかりの目から、涙がこぼれる。

その瞬間、俺の足は魔法がかかったみたいに動かなくなった。

足が急に動かなくなったのは、あかりの涙を見たせいなのだろうか?

「バイバイ、シュージ…」

あかりは笑って、俺に向かって手を振った。

俺は、足を動かすことができなかった。
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