やわらかな夜
今にも折れてしまいそうなくらいの、華奢で小さな躰だった。

彼女を抱きしめているこの腕に力を入れたら、本当に壊れてしまいそうだ。

「あかりがどんなヤツで、どんな過去を背負っていようが、俺は構わない。

俺が欲しいのは、あかりそのものなんだ。

例え世界中のヤツらがあかりのことを悪く言ったって、俺はお前のそばにいたい。

あかりの味方になりたい」

俺の言葉に、小さな躰が震えた。

「――シュー、ジ…」

俺の名前を呼んだあかりの声が震えていた。

「――あたし…あたし、シュージのそばにいたい…。

シュージが大好きだから、そばにいたい…」
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