やわらかな夜
「理人さんは」

「お兄さんでいいよー?」

理人さんが返した。

「はっ?」

驚いて聞き返した俺に、
「あかりとつきあってるんでしょ?

だったら俺のことは“お兄さん”でいいから。

ずーっと憧れだったんだよねー、“お兄さん”って呼ばれるの。

あかりちゃん、あーだから1度も呼ばれたことがないのよー」

グスッと、理人さんが嘆くように言った。

「いや、そんなめっそうも…」

「いいのいいの、遠慮しないで」

いや、遠慮しますから!
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