秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
あの時よりやたらひょろひょろと背を伸ばした羽鳥は、

ぼくを見下ろしにやりと笑って、


「俺、まだ諦めてないから。」


「なっ!」


「転校先で、お互い頼り合ったりして、

 それで好きになるとかあるかもな。」


背がでかいからって、なんかムカつく。


「それって、宣戦布告ってやつ?」


「そうなるかな?

 遠距離恋愛って大人でも続かないらしいよ。

 ちょっと付き合ったからって、

 いい気になんなってことだよ。」

「いい気にって、なってねえよそんなんっ…」

言いかけてから、

それよりもっと大切な事を思いついた。 


「羽鳥お前っ」


「一応忠告したからな。

 じゃな、俺明日引っ越すんだ。」


「羽鳥!」


「なんだよ!」


「メルアド教えろよ。」


「は?なんで?」


「ダメかな?」


少し呆れていたみたいだけど、

羽鳥は無言で俺の手の甲に黒いネームペンでぐりぐりと

長めのメアドを書いて、


「イタメはやめろよ。」

そう言って笑った。



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