秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
玉山学園のコンクールまでの毎日、

ぼくと千葉は、学校が終わると二人で

おじさんの店に寄り道して帰ることが

日課のようになっていた。



ぼくはピアノを弾き、

千葉は、それを嬉しそうに聞いたり、

時には、歌を歌ったりほかの楽器を弾いたり、


まるで、ずっとそれが続くんじゃないかと錯覚するくらい。


両方の親も、それについては知っていても、

口を出すこともなく見守っていてくれた。


千葉は何よりお母さんから信頼されているし、

母さんはピアノさえ引いていれば文句はないのだから。


僕らの濃密な時間は

急ぎ足で通り過ぎ、


別れの時間はすぐそばに迫っていた。


「あああ、もう明日からはここには来られないな。


 明後日引越しだから、

 『明日は早く帰ってね。』


 って、ママに言われてるの。」



千葉は俯きながら寂しそうに言った。







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