秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
「そっか、明後日引越しなんだ。」


「うん。だから学校は明日まで。」


「たかちゃんコンク-ルも明後日だったね。」


「うん。見送れなくてごめんな。引越し何時?」


そうなんだ、ほんとについてない。


まるでぼくたちを邪魔するように、

そういうことが重なる。


「多分、夕方。

 5時頃って運送屋さんに言ってた。」


「なら、見送りに行けると思う。


 コンク-ル午前だし、

 2時にはこっち戻るから。


 そしたら会いにいく。」


「そんなの忙しくて大変でしょ?

 いいよぉ、演奏に集中して。」



「大丈夫、集中するよ。

 終わって戻ってからならいいだろう?

 最後だよ?


 俺が千葉に会いたいんだよ?


 もう、

 大事な時にいないなんて嫌なんだ。」


そう言ってから、胸がずきっとした


きっと千葉もいっっしょだと思う。




『最後』…


使いたくないその言葉

その単語がぼくたちの心を冷たく凍らせる。


その先のボクらを想像することは絶対したくなかった。

ぼくは思わず手を伸ばして、千葉を抱きしめた。


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