秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
「った…」


「どうしたのたかちゃん?」

僕の腕の中で心配そうな千葉の声を、

たしなめるように、

わざとおどけて見せた。

「すゲードキドキする。こんなことする柄じゃないよね」

ははっ

と笑うと抱きしめてた千葉を解放した。


チリチリした痛みが時々、僕のお腹を走る。


東京に行った辺りからだ、


痛みではない違和感みたいなものは、


もう少し前から感じていた。


その度、たいしたことないと気にしないように心がけた。


コンクールが近いから、精神的なものかもしれないし


大袈裟に言ってなんでもないのは恥ずかしい。



「最近、顔色悪くない?たかちゃん。」


「え~?気のせいじゃないかなあ?

 あ、でも、

 へへ…」


「な、何?」


「めちゃ嬉しいんだけど。」


「だから、何?」


「そんなにいつも俺のこと見ててくれてんの?

 顔色とか?って

 そんなに俺のことが好き?」


ぼくは、千葉の何か感づかれたような気がして

はぐらかそうと必死だった。

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