秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
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この日が来るなんて、

覚悟はしてたけど、やっぱりキツイな。


壇の上に立っている千葉は、みんなを見渡してから、

ちょっと笑顔を作った。


「ここで過ごした、14年間は、私の今までの人生全部です。


 これからも、私の14年間の思い出はみなさんとずっと一緒です。


 いつかきっと、笑ってまた会えると信じています。


 だからさよならは言いません。


 いままでどうもありがとうございました。


 また会いましょう。」


千葉の大きな目には涙がいっぱい溜まってて

今にもこぼれ落ちそうで、

でも背筋をしっかり伸ばして別れの挨拶をした。


女子は何人も泣いてるのに、

泣かずにしっかり言い切った千葉は、

やっぱり強いなって思った。


ぼくは、千葉の家に行った時、僕の湿布を濡らした

あの時の千葉を思い出していた。


「きつい…逃げ出したい…」

そう言ってたな。

でも、君は最後まで逃げなかったね。



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