秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
次の日の放課後

みんながパス練をしているとき、

ぼくは一人校庭を走っていた。



昨日部活サボって、

ピアノ弾いていたことがバレた。


「用事があって部活を休みます。」


と、顧問の佐伯Tには言ったのだが、

それが、学校でピアノを弾いていたことが先生の癇にさわったのだ。


なんとなく、ぼくの中で、

練習とかあまりしないのにできる。

そんなところを演じていたので、

練習とかで部活を休む=恥である、

そんな変なポリシーみたいなものを持っていて、

素直に理由が言えなかった。


今日部活前に、佐伯Tに呼び出されて、

「そういうところが、お前の中途半端なダメなところだ。」


と言われて、

「頭を冷やせ。」


と、校庭10周を命じられた。


言うことはごもっとも。


けど、どこかでそうじゃないだろと思う自分がいる。


理由をいわなかったは僕のプライドで

プライドを否定するのは先生でも許せない。


イライラする気持ちを足の動きと呼吸に込めて

吐き出した。


ワーっと叫びたい気持ちだけどそれやったら変態だ。

力の限りダッシュした。


佐伯Tは言った。

『別にピアノの練習をしていたのが悪いわけじゃない。

 やるなら、ちゃんとやれ、

 隠れてコソコソしていい結果が出るわけがないだろう。』


佐伯Tの言うとおりだ。

いつだってどっちつかず、部活のレギュラーも取りたいし、

やるならならピアノで伴奏賞も取りたい。


何より千葉の気が引きたいっていう色気もプラスされ、

何を優先すべきかわからなくなっている



10周のランニングのうちに、

少しずつ、考えがまとまってきた。


合唱コンクールまであと一週間。

今は、伴奏を優先させよう。

最善を尽くす。


クラスのために、そして千葉のために。

何より、中途半端な僕のために。


「佐伯先生。」


「おお、能勢。どうした?結論は出たか?」



< 11 / 192 >

この作品をシェア

pagetop