秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
「たかちゃん、

 あたしの手、離してくれないんだもん。」


そう言って見せられた千葉の腕には、

俺が握り過ぎてできたらしい痣がある。


「わ、痣になってる。ごめん。」

そうだった、千葉と握手しようとした時に倒れたんだ。

千葉は手首を抑えて、ううんと首を振った。


「ごめんな千葉。

 皆と最後の時間に俺、こんなことになって。」


千葉はずっとついていてくれたみたいだった。



「いいの、おかげで救急車に乗せてもらえたよ。

 初体験だよ!


 それに、心配だったから。」


意識を取り戻すまでどのくらい時間がかかったのだろうか、

その間ずっと俺の手を握ってくれていたらしい。


俺に握られてできた、腕のあざが痛々しい。


しばらくして、

病室のスライドドアが、スッと開き、

看護士さんやらドクター、あとに続いて、

父さんと母さんが入ってきた

母さんは涙目で、父さんは苦笑していた。

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