秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
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「のせっち、生きてたの?」


「あ、横須賀!!」


「いや~、腹切って無事退院したよ~!」



「盲腸だってね~大変だったじゃん。


 最後まで千葉に心配かけるなんて、いい身分だよね!」


「そう言うなって、俺だってなりたくてなったわけじゃないしさ。」

痛いよな、図星突かれて返す言葉もないよ。


「お、能勢~無事生還したんだ。

 なあ、手術する前さあ~、剃るってホント?」


「さあな、意識ないうちに手術終わってたし。」


「なんだよ~つまんね~の」


「いやね、男子ってほんと下品。」

「なんだよ横須~お前だって知りたいだろ?」

「馬鹿言わないで~」



冬休み明けていつもの学校、


いつもの教室。


だけど千葉がいない。


千葉の席は空いたままになっていて、


遅刻ギリギリでいつものように走り込んできそうだ。


だけどそれはもうないんだな。


「能勢~!何ぼんやりしてんだ~始業式始まるぞ~!!」


「おお竹野内わりぃ!!今行く!」


机のフックにカバンをかけた。



教室から出るとき、

もう一度振り返ってカバンのかかった机を見た。



「千葉も今頃向こうの学校で始業式かもな。」


そんな独り言を呟いた。





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