秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
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「チョッちゃん。ケーキあるわよ。」

「いらない!」

「なんか怒ってる?」

「なんで、いつも羽鳥くんをあたしの部屋に入れるのよ。」

「あら?将臣くんいい子じゃない。

 
 ずっと、チョッちゃんのこと気にかけてくれてるし、

 ここのところなんか、男っぽくなって、

 こう、胸板とかガシッとして。


 あと20年若かったらママ好きになっちゃうかも」



「ママ、パパに言いつけるわよ。

 年下趣味だって。」



「馬鹿ね、20若かったらって言ったでしょ、

 っていうか、能勢くんと別れたんなら羽鳥君にしたら?」


「別れてないもん!」


「そう?最近連絡とってないみたいじゃない?」


「ママっプライバシ-の侵害!

 いい?とにかく、羽鳥くんあたしの部屋とかにあげたら

 もう口きいてあげないから」


あたしは捨て台詞を残して部屋にこもった。


プライバシーって言ったって、

小さな社宅。


物置みたいな4畳半があたしの部屋。


なんかもう少し素敵な家とかに住みたいな、

たかちゃんちみたいな…

ああ、ダメダメまたこうやって比べちゃう。



あたしがたかちゃんにコンプレックスを持ってしまったのは、

あたしの家が思ってたより経済的に苦しいこと。


多分、音楽を続けられるほど家に余裕がないこと。


あたしがわがままを言えば、

ママもパパも願いを叶えようとしてくれる。

でも、そんなことをしてはいけないのだと、

気がついてしまった。


たかちゃんと過ごした、

自信に溢れたあたしはもういない。


少し大人になって、

夢を追うことを許される人はひと握りなのだと

知ってしまった。








 


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