秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
「ミーティングにかけてるんだ。」


「へえ?じゃあ千葉来るのか?」


「多分。」


「チケットどうやって渡したんだ?」


「会えばわかるさ。」


ぼくの最終手段だった。


言えば。バカだと言われるだろう。


それでも、千葉に会えるなら、

このまま消滅するぐらいなら、

いっそ嫌われたほうがマシ。


ぼくは汗で濡れたシャツを脱いで、

洗濯済みのTシャツに着替え立ち上がった。


「もう帰るのか?」


「明日は5時に会場入りなんで。」


「そっか、じゃあ、お疲れ。


 チケットさんきゅ!

 明日楽しみにしてるよ。」


「ああ、じゃあな。」


バッシュを掴むと体育館を出た。

空気が流れて、汗が引いていく気がした。


明日、君に会える。


もう一度でいい、君の笑顔が見たいんだ。






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