秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
たかちゃんに会う。


そうなんだよね。


あたしはたかちゃんに会うんだ。


この前会ったのは、去年の暮れの、玉山学園のコンクール会場。


あの時は、こんなふうになるなんて思ってもみなかった。


あの時の演奏はすごくよくて、

それがすごく誇らしかったし、

たかちゃんが賞を取って玉山に入学が決まって、

あたしも、玉山に入るって思ってて、

あたしの未来は輝いてて

描いてたバラ色の高校生活。


玉山に落ちた事実から、

あたしの中に芽生えた嫉妬心と無力感。


全てはあたしの傲慢なおごりから生まれたコンプレックスのせい。


そうだよ羽鳥くん

あたしはつまんない女だよ。


いつか、また昔のように笑えるようになるのかな。


長い沈黙のあと、あたしはぼそりとつぶやいた。


「笑い方なんて忘れちゃったな…」


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