秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
「あった。」
寮の部屋に持ち込める荷物は少なかったけれど、
これだけはとケースにまとめてしまってきた。
ダラックマのファイル、
そこに挟まった書きかけの楽譜と裏に書かれた手紙、
ガタガタの縫い目のフェルトのポーチ。
中に入っている絆創膏には、
一つ一つメッセージが書いてある。
ガンバレ、
負けるな、
大丈夫、
ぼくへのメッセージ。
もうすでに何枚か使った。
ここぞという時、
これを巻く。
遠くにいても千葉を感じてた。
千葉のために
ぼくは君に何かしてあげただろうか。
かさりと落ちた紙。
「あ…そうか…」
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「前田さんお願いがあります。」
僕は、舞台の袖で打ち合わせをする、
MEこと、前田さんに声をかけた。