秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~


そういう事なんだな…

それがたかちゃんの気持ち…


「羽鳥くん。

 ありがと。

 あたし一人じゃあ来れなかったと思う。


 ねえ、フラれるのはきっとあたしだから、

 そうでしょ?


 こんなあたし見たらきっと彼はがっかりする。


 そうに決まってる。」




「お前なあ。」



「羽鳥くん、

 そしたらあたし動けなくなるかも。


 そしたらごめん、羽鳥くん

 迷惑かけるかもしれない…」



「安土、お前とことんネガティブだな。


 わかった任せとけ。


 なあ、

 俺にしろよ。


 俺ならお前を笑顔にしてやる。

 
 あいつなんか忘れて俺にしろよ」



「うん。」



「まじか?」



「あたしは今日さよならをする。


 昔をいつまでも引っ張って、

 イジケ虫のあたしと!


 そしたら、

 そしたら…」


それ以上言葉が思いつかなかった。

 そしたらどうする?

 そんなに簡単なものなのかな。



羽鳥くんは、なにか言いたそうにしてたけど、

それっきり黙ってずんずん前を歩く。



背、大きいなあ。


背中広い…


あたしずっと羽鳥くんのこと見ようとしなかった。


羽鳥くんはずっとあたしを守ってくれる。


今も、ずっと前からも、


ごめん。



それでもあたしはまだ、

たかちゃんへの思いは振り切れるような気がしない。



でも、たかちゃんがそれを望むなら…

羽鳥くんのこと

考えてみようかと思うよ。






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