秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
あれからずっと千葉の家に着くまで、

歩きながら、わざとそのことを意識しないようにして

痛みを逃していたのだけれど、

千葉はきっと、それをずっと気にしてたんだ。


「あ…」

巻かれていた湿布には

女の子のコロンとした文字で、


『早くなおりますように♥』

ってネームペンで書いてある。


「大したことないといんだけど。

 大事な指だもんね。」



顔…近いんですけど…

シチュエーションだけだって胸がドキドキしてんのに、

その上、このセりフ。


こういうの小悪魔って言うんじゃないか?



「さんきゅ」


もう少し気の利いたセリフないのかよ。


そう思いながらも言葉が出てこない。


急接近に俺はドギマギ戸惑うばかりだよ。


心臓バクバク、

低い音でなり体から床に伝わるんじゃないかと思った。


何か言わなくちゃって思いながらも、

気持ちは舞い上がり、声はひっくり返る。


「千葉、お、おれさあ…」

「ん?」



「今の千葉かっこいいと思うよ。」


「え?何の話?」

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