秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
「えっとさ、何か俺、同じ年なのに、
部活はペナリティくらって、
のこのこ千葉の家にやってきてさ、
何やってんのって話。
なんか、中途半端だよな俺、はずかしいよ。」
「ばっかねえ、何言ってんのよ。」
後頭部を思いっきり叩かれる。
「ってーな、真面目に言ってんだよ。
千葉ってば まじ、カッコイイ、尊敬する!」」
「んっもぉ!それ言うなら可愛いとか、綺麗とか、素敵とかでしょ。」
「そんなの、ずっとそう思って…
あっと、
いやいやそういうんじゃなくて
転校とか、ちゃんと受け止めて、
指揮とかも一生懸命取り組んで、
将来のことも考えてて、
すげーってことさ。」
もう一回肩をバシッって叩いたかと思うと、
「すごくなんかないよ。」
「千葉?」
千葉が力なく床にストンと座り込む。
「キツイ…
キツいんだよ
怖くて、逃げちゃいたい。
のせっち…」
「え?あのさ…え?」
「ごめん今だけ…
今だけ泣いていいかな…」
千葉はそう言うとぼくの手の上に額を押し付けて
声を出さずに泣いた。
時折ひゅうっと
苦しそうに呼吸する音が部屋に響いた。
何もしてあげられない俺は、
戸惑いながら、心のどこかで
自分をさらけ出して俺の前で泣く千葉を
抱きしめたくてたまらなかった。
声を上げて泣いたらもっと気持ちが楽になるのに、
千葉は声を抑えて肩を震わせて
こぼれ落ちた涙がさっき巻いてくれたばかりの湿布を濡らした。