秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
「ああ、お帰り!みっくん。」


ぼくの母さんは、専業主婦。


時折送られてくる、英文の添削のアルバイトをしている。

「雀の涙よ。」

とよく言う。


そのお金が、ぼくのピアノの塾一回分にしかならないことを

ぼくは知っている。

それくらい、ぼくのピアノはお金がかかっている。


「ただいま。」

ぼくの指の湿布を目ざとく見つける母さん。


「…あれ?どしたの?」


「何が?」


「指、また突き指でもした?」


「ああ、大したことないよ。」


「もうっ!もうすぐコンクールなんだから、

 部活も大概にしてね?

 ほら、見せてご覧?」


「いいよ!」


俺は慌てて手を振り払った。

パチン、思ったより大きな音にびっくりした。

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