秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
あの日から、あたしの目が追う先は、のせっち。


数学の時も英語の時も左手はいつもリズムをとっている。


友達と話している時も、軽く膝を指で弾いて、

バスケのドリブルからも彼の奏でる音があたしの胸をギュッと掴んだ。


あたしにとってのせっちはあこがれで、音楽そのものだった。


彼と一緒にいる空間で呼吸をしているのが幸せ。


こんなこと初めてで、

これが恋だって気づいたのは、


「能勢くんって可愛いよね。

 ピアノうまいし、話も面白いし、好きになっちゃいそう。」


沙耶の一言だった。


やめて、彼がいるくせに、そんな目で能勢くんを見ないで。

そう心が痛くなった時、

ああ、

これは恋なんだって気づいた。


あたしは恋してるんだって気づいた。






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