秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
今年指揮者に選ばれた時、

すごく嬉しかった。


のせっちと音楽を作れる。

そう思った。

のせっちが伴奏者になるの渋ってる時、

無理やりやらせるように仕向けた。

選ばれたその日は、

もう天にも昇れる気持ちだった。

コンクール終わったら、

告白しようと心に決めてたのはわあたしだったんだから。




でも、

神様は意地悪。

突然のパパの勤めていた工場がこの秋閉鎖することが決まった。

そして、パパは千葉工場への転勤が決まった。

あたしは

その日泣きに泣いて、


「合唱コンク-ルが終わるまでこの学校に残りたい!」


と、懇願した。


ここに工場がなくなるのだから、会社の社宅に残ることはできない。


夜遅くまで、パパとママは話し合い、

パパには先に千葉へ行ってもらって、

私たちは、今学期いっぱいここにいられるように手配してもらった。


かくして、そのあたしの願いを両親は叶えてくれたのだ。


あと一ヶ月とちょっと、

それが、


この学校に留まれるタイムリミット。


告白もこの時泣く泣く諦めた。

失うものの大きさに耐えられるように、

自分でそう決めたんだ。


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