秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
そして私は、車の中にいる。

「あ、あの、すみません。送って頂いちゃって。」

うっかり話し込んで真っ暗になってしまった。

『心配だから送っていく。』

というのせっちを、断っていたら。

なんとのせっちのママに送ってもらうことになってしまった。

緊張するんですけど…


「いいのよ、買い物に行く予定だったし。

 こうして安土さんともお話できるしね?」


「は、はい、ありがとうございます。」


「引越しされるんですってね?」


「はい。今学期いっぱいです。」


「残念ね?せっかく仲良くなれたのに。

 安土さん。あなたのおかげであの子すごくいい音出すようになったの」


「私なんかのおかげではなくて…」

のせっちママはくすりとなにか思い出したように笑って、


「前は、正確で固くて、刺々しい音だったけど、

 今は優しくて、何かを伝えるような音を奏でるの。

 そういうのはわかるのよ。

 私は母親だからね。

 転校してもあの子応援してあげてね?」


「あ、はい。」


「これ、私の携帯アドレス。

 携帯持ったら空メール頂戴。」


「?は、はあ。」


「絶対よ!」


のせっちのママってちょっと変わってる?




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