秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
ホントにすごいと思う。


同じ歳なんだろうか?


あたしが弾くピアノ、自分でも上手に弾けてるって自信がある。


小学生までしか習ってないけど、いつだって褒められてた。


周りの誰よりも、正確で、ミスをしないで弾けてた。


なのに、たかちゃんのピアノは、

そういうんじゃない。


嬉しくて、あったかくって、


寂しくってて悲しくなる。


胸がギューってなる。




3歳から続けていたピアノ。


中学生になるのを機にピアノをやめた。


「どんな時代にも、場面にも音楽は存在するのは、

その音で心を表現したいと、知ってほしいと人が望むから。


だから、音楽はね、機械じゃ作れないんだよ

機械の音じゃあ、人を感動させたりできない。


人が、心を音に乗せて奏でるから、心に響くんだよ。


千葉ちゃんのピアノはこれからたくさん色をつけていかないとね。


今はまだ、下書きが仕上がった状態だから、


どんな風に色をつけていくかは、千葉ちゃんの気持ち次第だよ。


夢を見たり、恋したり、そういうのが全部、絵の具になるんだよ。


千葉ちゃんはこれからどんな音を作っていくのかな?


人の心を動かすような音を作ってね。」


先生からの最後の言葉。


当時6年生の何を言っているのか、

きっとん本当の意味はわからなかった。

中学生になって、たかちゃんに会って、

私の耳にはたかちゃんの音が離れなくなった。


たかちゃんの音は

優しくあたしを包むの。

透明だけどキラキラして

そして温かいの。






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