星空の魔法
カラオケに向かう途中、助手席に乗っていたママ友が言った

『あれ、弘ちゃんじゃない?』

そのママ友は長谷部さんを弘ちゃんと呼んでいた

『本当だ』

運転していたママ友も言う

前から走ってくる白いワンボックスカー

間違いなく長谷部さんの車だった

少しだけローダウンしていて、シンプルなエアロが付いた白いワンボックス

あたしは後部座席から見ていた

目はかなりいいから、長谷部さんの顔はすぐにわかった

スーツを着て運転している長谷部さんの笑顔は相変わらずだった

ママ友の車に気付いて、手を振っていた

あたしは見ていただけだった

『弘ちゃんもきっと二日酔いだよねー。昨日2時まで一緒に居たもんね』

『そのわりに、さわやかな笑顔じゃなかった?』

前の2人がそんな会話をしていた

あたしはすぐにメールを打った

“今、すれ違ったよね。わかった?”

あたしには気付いてくれたんだろうか?

そのうちにカラオケに着いて、部屋に案内された

その時に返信が来た

“やっぱり乗ってたんだ?全然見えなくて残念でした。笑顔が見たかったよ。カラオケ大変だろうけど、頑張って”

笑顔が見たかったって…

そんな風に言わないで欲しいよ
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