星空の魔法
親だから

親同士の付き合いだから

そう思い込むようにした

無駄な意識はしないように

長谷部さんは、旦那と同級生だった

そんなに仲良くはなかったみたいだけど、小学校と中学校は一緒だった

純平と和希くんが同じ幼稚園で、その時に旦那に同級生の弘隆だよって紹介された

その時から長谷部さんの事は知っていた

180センチくらいの身長のわりに、ありえないほど痩せてるのが、服を着ていてもわかる

それと、奥さんが年上で、早くに結婚したって事も知っていた

あたしの中の長谷部さんは、旦那の同級生の1人にすぎないし、息子の友達のお父さんっていうだけ

それ以外に何もない

今、こうして2人で居る事に違和感もない

コンビニまではすぐだった

コンビニに入ってから気付いた

あたし、スッピンだったんだ…

この明るい店内、キツい

ヤバいよ、スッピンなんて

だけど、長谷部さんは何も気にしてないかのように、あたしに微笑みかけてくれる

『何飲む?』

あたしの顔を覗き込む長谷部さんに思わず顔をそらしてしまった

『ん?』

『スッピンだから、あまり見ないで』

『ははは。全然わかんなかったよ。スッピンだって言われなきゃわかんないし』

『またまたぁ。かなりヤバいでしょ』

そう言って笑いあって、お酒を選んでいた

缶酎ハイ2本ずつ

誘ったのは俺だからと、長谷部さんがお金を出してくれた
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