星空の魔法
さっき歩いてきた道をまた戻る

『はい』

『ありがとう』

手渡された缶酎ハイを開けて、立ち止まって乾杯する

『お疲れ様』

『お疲れ様ってのもおかしいけどね』

『だよね』

そう言いながら、一口流し込む

2人の間の距離はさっきと変わらない

くっつきもせず、他人のように離れてもいない

会話もさっきと変わらない

野球の話ばかりだった

それしか共通の話題は無いのかもしれなかった

長谷部さんとは、何度か一緒に飲んだ事があったから、少しだけわかっていたけど、大人しくて、人の話を聞くのが上手な人だなって印象

旦那が同級生じゃなければ、家族ぐるみで飲んだりするような仲にはならなかったかもしれない

缶酎ハイを飲みながら歩いているから、少しゆっくりと歩いていた

時々通る車のライトがまぶしかった

『純平と和希だけに、特訓しようかな』

『ぜひぜひお願いしますよ』

『このまま終わりたくないよな』

『そりゃ、そうだよ。和希くんのお父さんもイライラしてるでしょ?自分が野球やれるし、父母の会の会長さんもやっちゃってるとさ』

『まあな。でも、和希の口から野球教えてって言葉が出てくれなきゃ、何かイヤなんだよな』

ちゃんと考えてる人なんだなって思えた
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