甘い罠-Spider or Butterfly-
「ふーん」


ハルは腑に落ちないと言うわけでもなく、かと言って、同調するでも無い。


年下のハルに向けて言うべき言葉では無かった筈だが、ハルが何を考えているかなんて、まだ出会って数分では読めない。


あたし、


無意識に男の人避けてんのかな。


そんな風にボンヤリ思った。


一瞬の、心ここにあらず。


「危ないよ」


グイッ


(え・・・?)


あたしのすぐ横を車が通って行く。


反射的に、引き寄せられた腰。


そして立ち位置を入れ替わる細やかさ。


「・・・ありがと」


にこっ、って、今度はちょっと得意げに笑う。


さも俺は頼り甲斐あるでしょ、なんて風に。


ってのは自惚れ、かな。





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