お姫様の作り方
「路上での出会いは〝決められたもの〟じゃなくて、〝お前が選んだのか〟って訊いてんだよ。」
決められたもの、それはつまり運命というものだ。私が歩むべき道、選択すべきもの、そんなものはたくさんある。でも由貴はそういうことを訊いているんじゃない。
由貴の言葉にどう答えればいいのか分からずに視線が彷徨う。
「っ…路上での…出会い…。」
それはつまり…
「由貴との…出会い…。」
自分でそう口に出して頬を熱くするなんてバカみたいだ。でも、思い返してみればそれは私がはっきりと〝選んだ〟ものだ。
だったら、由貴に返すべき答えはたった一つ。
「…私が、選んだ。由貴の声が聴きたくて、由貴の音に出会いたくて。」
だから車を降りた。決められた道ではない道を歩きたくて。
真っすぐに見つめられるから見つめ返したけれど、段々恥ずかしくなって来て視線を先にずらしてしまった。…恥ずかしくて仕方がない。何が、ということではなくて。
「…なんで視線外すんだよ。」
「な…な、んと…なく…っ…。」
「ったく言ってること結構大胆なのに、そこで照れるから意味分かんねぇよなーお前。」
「っ…意味分かんなくないっ!」
そう反発するものの、顔は上手く上げられない。
「…茉莉花。」
「な、なに…。」
ゆっくりとなんとか顔を上げようとすると、由貴の指が少しだけ強引に私の頬から顎にかけての部分に触れた。
その後に触れたのは、手じゃない。
決められたもの、それはつまり運命というものだ。私が歩むべき道、選択すべきもの、そんなものはたくさんある。でも由貴はそういうことを訊いているんじゃない。
由貴の言葉にどう答えればいいのか分からずに視線が彷徨う。
「っ…路上での…出会い…。」
それはつまり…
「由貴との…出会い…。」
自分でそう口に出して頬を熱くするなんてバカみたいだ。でも、思い返してみればそれは私がはっきりと〝選んだ〟ものだ。
だったら、由貴に返すべき答えはたった一つ。
「…私が、選んだ。由貴の声が聴きたくて、由貴の音に出会いたくて。」
だから車を降りた。決められた道ではない道を歩きたくて。
真っすぐに見つめられるから見つめ返したけれど、段々恥ずかしくなって来て視線を先にずらしてしまった。…恥ずかしくて仕方がない。何が、ということではなくて。
「…なんで視線外すんだよ。」
「な…な、んと…なく…っ…。」
「ったく言ってること結構大胆なのに、そこで照れるから意味分かんねぇよなーお前。」
「っ…意味分かんなくないっ!」
そう反発するものの、顔は上手く上げられない。
「…茉莉花。」
「な、なに…。」
ゆっくりとなんとか顔を上げようとすると、由貴の指が少しだけ強引に私の頬から顎にかけての部分に触れた。
その後に触れたのは、手じゃない。